インタビュー interview
【オーシーシー】「憧れだけでいいのだろうか」 葛藤し続けた20年。ようやく叶えた沖縄移住
「いつかは沖縄で暮らしたい」。そう思い続けて約20年。遂に昨年、念願の沖縄移住を果たした株式会社オーシーシー(浦添市)の和田央行さん。なかなか移住に踏ん切りをつけられずにいましたが、それが信じられないほどに今は仕事も生活もたっぷり満喫しています。沖縄との出会い、すぐに移住に踏み切れなかった理由、そして沖縄ライフの充実ぶりなどを聞きました。
株式会社オーシーシー 自治体クラウドソリューション部
和田央行さん
千葉県出身。東京の大学を卒業後、都内のIT企業にインフラ系技術者として入社し、18年間勤務。1999年に沖縄を初めて旅行して以来、訪問歴は20回以上を数える。長く移住を夢見てきた中、2018年5月に移住を実現。オーシーシーに入社し、自治体クラウドサービスの基盤構築、運用などを担当。趣味はゴルフ、テニス、ジョギングなど。浦添市在住。
Iターンした理由
旅行は20回超。「観光」と「生活」の違いに不安
沖縄を初めて訪れたのは、1999年夏。沖縄出身の大学の友人に誘われて、ふらっと旅行に出かけました。海がきれいで、時間がゆっくり流れていて、人もギスギスしていない。都会にはない雰囲気に癒され、「自分に合っているな」と心地よさを感じました。それからですね、いつか沖縄で住んでみたい。そう思い始めたのは。
それ以来、もう20回以上は旅行しましたね。最初は年に1回でしたが、だんだん2回、3回と増えていって、両親からは「実家に戻ってくるより沖縄に行く回数のほうが多いんじゃない?」なんて言われるほどでした。
それでも、なかなか移住の決断はできなかったんです。生まれてからずっと、東京近辺で生活してきました。いくら好きな場所でも、生活習慣や風土の違う土地で、観光ではなく、生活していく。うまく溶け込めるか、心配でした。読まなければいいのに、ネットで“移住失敗談”のような記事についつい目が行ってしまって、夜寝る前に思い出しては考え込み…そんな日々もありました。憧れだけでは難しいだろう。そんな思いがなかなか拭えず、ずっとどこかにモヤモヤした気持ちを抱えていました。
東京のIT企業に18年。でも、沖縄が頭から離れなかった
移住を夢見ていた当時、私は都内のIT企業でインフラ系技術者として働いていました。大学は文系です。ITの世界とは無縁で、当初は銀行や官公庁への就職を目指しました。ただ、当時は就職氷河期真っ只中。うまくいかず、選択肢を広げることに。そこで出てきたキーワードが「システム開発」でした。例えば、銀行が使うシステム開発に携わるとか、別のかたちで銀行などとつながりがもてる仕事を選ぶことにしました。
新卒で入社したインフラ系IT企業には、沖縄に移住する2018年まで18年ほど勤務しました。社員が3000人以上いる大きな会社です。ゼロから知識をつけて、グループリーダーとしてプロジェクトをマネジメントするまでに成長できました。このまま働いていれば、安定した給料がもらえて、不自由なく生活できたかもしれません。ただ、やっぱり沖縄のことが頭から離れなかったんですよね。
単に移住するのではなく、次のステージで力を試したい
沖縄で暮らしたい思いと、生活が一変することへの不安。そんな葛藤の中で、ある時期から移住に前向きに、自信がもてるようになったんです。きっかけは、沖縄出身の学生時代の友人です。
彼は大学卒業後にUターンして、沖縄のIT企業で働いています。沖縄のIT事情について話を聞いていると、「経験のある技術者をほしがっている」と。そして、思い悩む私を「東京でスキルをつけてきたじゃないか。もっと自分の能力に自信をもて」と励ましてくれました。そんな後押しもあって、私自身も「やれるんだったらやってみようか」「大好きな沖縄に貢献できるかもしれない」と気持ちが高ぶってきたんです。生活への不安がゼロになったわけではありません。でも、単に移住するのではなく、次のステージで自分の力を試したい。そんな新しい感覚が芽生えてきたんです。
そうして本格的に移住を考え、「ITキャリア沖縄」の転職イベント(2017年)に参加しました。それも沖縄の友人に「こんなイベントがある」と教えてもらった情報でした。そこで知ったのが、オーシーシーです。数少ないインフラ系技術者を募集していたのと、担当者の丁寧な対応だったこと。それが印象的で、入社を決めました。
不安だった生活に関しては、事前にシミュレーションをしましたね。収入が減ることはわかっていたので、例えば「家賃はこれくらい下げられる」「食費はこれくらい…」などと紙に書き出して、毎月の生活のやりくりをイメージしました。
そして2018年、ようやく移住が実現します。初めて旅行したときから20年弱。長かったですね(笑)
現在の会社と仕事
新サービスの担当に抜擢される
オーシーシーは、沖縄初のコンピュータ専門企業です。創業は1966年、まだアメリカの占領下にあった時代ですね。その後の本土復帰を経て現在に至るまで、沖縄の経済を下支えしてきました。オーシーシーの歴史は、沖縄のコンピュータの歴史といえます。
事業は多岐にわたりますが、主軸はシステムインテグレーションです。情報システムの企画から設計、構築、導入、保守、運用などまで幅広く請け負っています。特に、官公庁や自治体との取引実績が豊富です。主要な取引先は1000社以上に上り、県内では県庁をはじめとする行政機関や有力企業、県外でも首都圏の大企業などから受託開発を任されています。
私が担当しているのは、自治体を中心としたクラウドサービスです。これは、私がちょうど入社した時期に新たに始まった事業です。新サービスですから、会社としても担当する社員としても、まだ試行錯誤の部分が若干ありました。私はクラウドの基盤構築・運用の業務経験があったので、その経験を買われて新サービスを軌道に乗せるためのポジションを任されています。
まだ入社したばかりなのに、新しいサービスに携われるのはうれしいですよね。移住前に考えていた「沖縄に貢献したい」という思いに一歩近づけた気がしますし、会社の期待にも応えようとモチベーションは高いですよ。
上司に意見言える。ゴルフなどクラブ活動も盛ん
そんなオーシーシーの魅力は、「働きやすさ」にもあります。上司や経営陣との距離が近いので、自分の意見やアイデアを積極的に言えるチャンスがあります。伝えただけで終わるのではなく、ちゃんと真剣に考えてくれて、それが通るケースも少なくありません。逆に「違うものは違う」とはっきり言われるので、こちらも遠慮なく意見できる。そんな風通しのいい職場です。
社員は600人以上います。県内有数の規模にも関わらず、1対1のコミュニケーションを大事にできるのは強みですね。きっとそれには、クラブ活動も影響してるんだと思います。社員を10人集めれば、クラブをつくれる社内ルールです。私はゴルフや三線クラブに所属してますが、ほかにもジョギングや筋トレ、アロマなどいろんな活動があるんですよ。クラブ活動以外にも、スポーツ大会やビーチパーティーなど季節ごとのイベントも盛り沢山です。普段、仕事上関わりの薄い部署の人たちと交流できるのは楽しいですし、それが風通しのよさにつながってるんでしょうね。
Iターン後の変化
すし詰め状態の満員電車から、片道10分の車通勤へ
移住してからは、仕事も生活も環境が一変しましたね。例えば、通勤です。負担がずいぶん減りました。東京では、ときには車内に押し込まれて足が地面につかない状態もあるほど、毎日すし詰め状態の満員電車で通勤していました。
今は車通勤です。自宅と会社は、道路がすいていれば片道約10分。朝晩は多少渋滞しますが、プライベートな空間なので気楽ですよ。いつもNHKの朝ドラが終わってから家を出ます。東京にいた頃は考えられない夢のような世界です。帰りも仕事は定時で終わることが多いので、帰宅後はジョギングしたり、友人や同僚と飲みに行ったりしてますね。時間があってリフレッシュできるので、疲労が抜けやすく、翌日はフレッシュな状態で仕事を始められます。
「せっかくだから」を魔法の言葉に
休日は会社のクラブ活動に参加したり、学生の頃からやっているテニスをしたりしてますね。テニスは東京で働いていたときに知り合った友人に誘ってもらい、地元のローカルなコミュニティに入れさせてもらいました。ふらっと海に出かけたり、ドライブすることもあります。気軽に自然を満喫できる場所がたくさんあって、快適ですよ。
前職の上司や東京の友人が時々遊びにくるんですが、私の生活ぶりに「どうしちゃったの?」「表情が生き生きしてる」「充実してるな」なんて驚いてましたね。確かに、自分でもずいぶんアクティブになったと実感してますね。
ただ、「これはまいった…」と思うようなこともありますよ。例えば、湿気は予想以上でしたね。旅行で3日間ほど家を留守にしたときのことです。帰ってきたら、閉めていたクローゼットの中はカビだらけ。すべてクリーニング屋行きです。あれは思わぬ出費でした。どうやら、そういうときはクローゼットは開けておくといいらしいですね。
「せっかくだから」。これは、移住するにあたって大切にした言葉です。思わぬ体験やアクシデントも、面倒に感じることも、少しためらうようなことも。「せっかくだから」やってみようという心構えですね。これを魔法の言葉みたいに唱えていると、いろんなことをポジティブに捉えられるんです。仕事も生活も充実しているのは、「せっかくだから」精神の影響も大きいと思います。
今後の目標、UIターン転職者へのメッセージ
経験を伝えて、会社の価値を高めたい
この業界に入って約20年。これからは、今まで培ったスキルや経験を、次の世代に伝えていくことも大事な役割だと思っています。個々の業務やプロジェクトに加えて、例えば会社全体の仕組みなどについても私なりの考えを伝えたりして、オーシーシーの価値をもっと高めることに貢献したい思いがありますね。
生活面では、今はスポーツを中心に楽しんでますが、沖縄の文化も味わいたいと思っています。最近は、美術館巡りに興味があるんです。琉球漆器をはじめ沖縄の伝統工芸を鑑賞したり、実際にモノづくりの体験にもチャレンジしてみたいですね。
ネットだけではなく、リアルな情報を集めよう
沖縄への移住や転職を迷っている人には、「ITキャリア沖縄」のイベントのように、沖縄に詳しい人やリアルな情報に触れられる場所に顔を出すことをオススメします。ネットにもたくさん情報はありますが、ネガティブな情報に接して必要以上に不安になってしまうこともあると思うんです。やっぱりリアルな情報が一番ですよ。たとえネガティブな情報でも、それをしっかり受け止めたうえで、じゃあどうすればいいか。転職イベントなどでしたら、その場で相談できるので、前向きな気持ちになれます。
あとは必要以上に入れ込みすぎず、「長く楽しく沖縄ライフができれば」程度の楽な気持ちで来てみるのもいいと思います。入れ込みすぎると、その分ギャップが大きいですからね。自然体が大事ではないでしょうか。ぜひ、沖縄で仕事も生活も思いっきり楽しんでほしいですね。沖縄でお会いしたときは、よろしくお願いします!
●【NEWS】移住イベント@福岡に、株式会社オーシーシーが出展します!イベントの詳細はこちらにてご確認ください。
株式会社オーシーシーの求人情報を見る
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