インタビュー interview
【バッカム】普通に暮らせて、普通に仕事ができる。移住、そして起業した沖縄で手にした暮らし
UI/UX設計・デザインを軸に、アプリ・ゲームデザインやVR/ARコンテンツの開発などを手がけるバッカム株式会社(宜野湾市)。全国的にも数少ないというUI/UX設計・デザインとエンジニアリングの両方を得意とし、2014年の創業以来、順調に業績を伸ばしています。率いるのは、東京から家族4人で移住し、起業した黒川正裕さんです。移住の経緯や現在の暮らしについて、本人に聞きました。
バッカム株式会社 代表取締役(デザイナー、エンジニア)
黒川正裕さん
東京都出身。東京造形大学卒業。株式会社セガでCGデザイナーとしてキャリアをスタート。その後、中国のBaidu Japan、DeNAなどでUI/UXデザイナー、フロントエンドエンジニアを経て、仲間とソーシャルコミュニケーションアプリ「Eyeland」を立ち上げる。2014年、UI/UXエンジニアリングのバッカム株式会社を創業。妻と2人の子供と暮らす。
これまでのキャリア、Iターンの経緯
きっかけは震災。馴染みのある沖縄へ
美大で主にデザインを勉強した後、社会人としてのキャリアをスタートさせたのはゲーム会社でした。そこでCGデザイナーとして働き、その後は中国のBaidu JapanやDeNAなどでUI/UXデザイナー、フロントエンドエンジニアをしていました。
沖縄に移住することになったきっかけは、2011年3月に起きた東日本大震災です。当時はDeNAに所属し、東京で暮らしていましたが、まだ小学1年と幼稚園に通う小さい子供がいたこともあり、より安全な場所にすぐに引っ越そうと思ったんです。
引越し先に沖縄を選んだのは、馴染みがあったからです。毎年のように旅行に出かけてたので、土地勘があり生活するイメージが湧きやすかったんです。あまりあれこれ考えず、自然と気持ちが沖縄に向かっていったように記憶しています。1カ月後の4月には那覇市に引っ越し、妻と子供たちは沖縄で生活して、僕は平日は東京で仕事、週末に沖縄で過ごす生活をスタートさせました。
得意のUI/UX設計・デザインで創業
DeNAを辞めたのは、震災から約1年後でした。その後仲間たちとソーシャルコミュニケーションアプリ「Eyeland」を立ち上げ、数年間はそのスタートアップで忙しかったですね。ただ、自分たちで起業したこともあり融通が効きやすく、会社は東京にありましたが東京と沖縄でのリモートワークを半々くらいの割合で働いてました。DeNAやスタートアップで働いている間もずっと、いずれどこかのタイミングで本格的に沖縄に移り住もうとは思ってましたね。
そしていよいよ、沖縄移住とバッカムの創業です。あれは、スタートアップで始めたサービスが成長し、次のフェーズに移行するタイミングでした。僕としてはまた、得意なUI/UX設計・デザインに本腰を入れたかったので、そのタイミングで会社を辞めて沖縄に完全に移住し、バッカムを創業することにしたんです。
現在の会社と仕事
UIとフロントエンドをワンストップで
バッカムは、UI/UX設計・デザインを主軸に、アプリ・ゲームデザインやVR/ARコンテンツの開発なども手がけています。UIデザインとフロントエンド設計・実装をワンストップで提供できるのが強みですね。クライアントの大半は東京ですが、最近は沖縄の企業からフロントエンドの開発をさせてもらうケースなども増えてきています。
受託開発以外にも、積極的に新しい技術を取り入れて独自のサービスを提供しています。例えば、VR/ARのコンテンツです。現実空間を3D化し、VR/ARで体験できるサービスを展開しています。これにより、例えばマンションのモデルルームなど実際に足を運ぶのが難しいものをPRできるようになるんです。
沖縄で起業することには、それほど大きな不安はなかったですね。その直前に東京でスタートアップを経験してましたし、むしろ沖縄では最初1人だったので、気楽な面もあるほどでした。結果的には、それほど浮き沈みなくクライアントは順調に増えてますね。
創業当初はまだ、世間的にそれほどUI/UXの重要性が広がっていませんでした。だからこそ早い段階で起業して、専門の開発チームをつくることで知見を積み重ねようという思いがあったんです。UI/UXに強い会社は、おそらく沖縄にはほとんどないと思います。東京などを含めた全国にも、僕らのようにUI/UX設計・デザインとエンジニアリングの両方ができる会社は多くないはずです。
地元育ち、Iターン…メンバーのモチベーション高く
創業の地に宜野湾市を選んだのは、環境がよかったからです。IT企業が多く入居し、コワーキングスペースなどもある人気の施設「Gwave」(宜野湾ベイサイド情報センター)が気に入り、そこで会社を立ち上げることにしました(現在は市内の別の場所に移転)。
最初は僕1人でしたが、現在は沖縄に5人、東京にもスタッフが1人います。沖縄にいる社員はすべて現地で新たに採用しました。ずっと地元で生まれ育った人、沖縄で20年ほどの移住歴がある人、昨年千葉から移住してきた20代前半の若者です。未経験者にはしっかりトレーニングして、知識を身につけてもらっています。職場の雰囲気はのんびりしていますが、メンバー全員、技術習得へのモチベーションは高いですよ。
ちなみに、オフィス内には宿泊可能な部屋が3つあり、自由に使うことができます。東京の取引先のエンジニアたちが開発合宿で利用したりしています。ここに住む分には家賃はかかりませんし、多少の食料もあるので、極端にいえば0円で移住することもできますよ(笑)
沖縄に移住して…
ありのままを受け入れる暮らし
海がきれい。電車に乗らなくていい。花粉がない。ゆったりしている。沖縄に移住してよかったことはたくさんありますが、僕自身はそれをことさら強調しようとはあまり思わないですね。いいことも悪いことも、すべて自然に受け止めて過ごしています。ですから、人によってはもしかしたら不便に、あるいは物足りなく感じるようなことも、僕にはありません。
妻も子供も、ここでの暮らしに馴染んでますよ。ただ最近、子供が大きくなるにつれて「東京に遊びに行きたい」なんて言われることが増えてきました(笑)。メディアなどの影響もあるでしょうが、子供たちは新しいものや流行に敏感ですからね。
最新技術はどこでもキャッチアップできる
ただ、少なくとも仕事に関しては沖縄だから不便だとは一切感じません。結局のところ、最新の技術や情報は英語が読めれば、どこにいてもインターネットでいくらでもキャッチアップできますからね。
今、本業とは別に「フロントエンド塾」というフロントエンド技術の勉強会を主催しています。沖縄にはまだフロントエンドのエンジニアが少ないので、そういう人材を育てるような支援ができればいいかな。そう思って、社会人や学生などを対象に定期的に開催しています。
UIターン転職者へのメッセージ、将来のビジョン
気軽に行動してみるのも、1つの手段
先ほど話したように、沖縄の魅力はたくさんありますが、それをあえて声を大にして伝えようとは、あまり思わないんですよね。なんというか、「沖縄だから」と強調するよりも、普通に暮らせて、普通に仕事ができる。当たり前のように日常を送ることができる。少なくとも僕にとって、沖縄はそう素直に思える場所なんです。
沖縄にいる他のエンジニア仲間と話していても、そういう自然体でいる人が多い印象がありますね。自分の感覚や思いに素直に寄り添ってきた結果、たどり着いた場所が沖縄だった。そんなイメージです。もちろん、家族の事情などいろんな要素があるとは思いますが、あまり深く考えずに、気軽に行動してみるのもいいと思いますよ。
もっと人が気軽に行き交う場所に
僕は沖縄のITについて、明確な“将来ビジョン”のようなものがあってほしいと思っています。「フロントエンド塾」を開催しているのはそういう思いからで、そうすることで沖縄にフロントエンドのプログラムの思想が根付いていくようなことをイメージしているんです。ただ、この塾はあくまでフロントエンドという限定された職種と技術です。もっと広い視野で、沖縄のIT業界全体で「沖縄はこうだ!」といったような将来ビジョンを描くことができないか。僕自身もそうですが、業界全体で一緒に考えていければいいですね。
それと、もっと自由に、気軽に人が行き交うような状況が生まれるといいですね。昨夏、僕らのところに鹿児島県在住のエンジニアが来たんです。1週間ほどバッカムの仕事を手伝ってもらうためだったんですが、どうやら彼は沖縄が気に入ったようで、しばらくそのまま滞在して、自分の仕事をしたりして過ごしていました。彼は日頃から福岡などいろんな場所で仕事をしているようですが、例えばそういうリモートワーカーたちがどんどん行き交い、交流するような場所にできないか。沖縄は観光地として人気ですから、移住まではいかなくても、ちょっと沖縄で働いてみたいと思うような人は多くいるはずです。そういう人たちが気軽に行き交う場所にできれば、沖縄ももっと盛り上がっていくのではないでしょうか。
バッカムとしても、新卒や中途を問わず、UIターン者やそうした人たちを歓迎しますので、僕らと一緒に沖縄の未来をつくっていきませんか。
●【NEWS】移住イベント@渋谷に、バッカム株式会社が出展します!イベントの詳細はこちらにてご確認ください。
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