インタビュー interview

【沖縄ソフトウェアセンター】顧客はすべて県外。「オール沖縄」の共同開発で経済発展を

東京をはじめとする沖縄県外の顧客を相手に、ソフトウェアや情報通信システムの開発などを行っている沖縄ソフトウェアセンター。県内の株主企業と共同開発体制を敷き、「オール沖縄」で大型受注を含め幅広い業務をこなしています。沖縄県出身でUターンした又吉時成さんと、福島県出身で一家でIターンした齋藤淳一さんに、会社の魅力や沖縄での生活ぶりを聞きました。

 

 

又吉時成(システム開発部 グループマネージャー)*写真右

沖縄県西原町出身。琉球大学大学院卒業後、神奈川県内のIT企業に就職。長く都心で暮らしも、2014年に沖縄ソフトウェアセンターに転職、Uターン。システム開発のプロジェクトマネージャーとして、主に県外顧客との交渉やプロジェクトチームのマネジメントなどを手がけている。

 

齋藤淳一(組込ソリューション部 グループマネージャー)*写真左

福島県会津若松市出身。県内の大学卒業後、同県いわき市にある車載機(カーナビ&オーディオ) メーカーへソフトウェア技術者として入社、約15年間勤務。東日本大震災と福島第一原発事故後、子供の生活環境を考慮し県外への移住を検討。2014年、沖縄ソフトウェアセンターに入社。妻、小学6年と4年の娘と4人暮らし。

UIターンした経緯について

沖縄へのUIターンを決めた理由を教えてください。

又吉さん:

地元の大学院を卒業してから神奈川県内のIT企業に就職し、複合機を中心に組み込みシステム(※1)の開発の仕事を続けてきました。ただ、いずれは沖縄へ帰るつもりでした。数年に及ぶ大型プロジェクトが終わったタイミングで「今かな」とUターンを決意し、2014年に沖縄ソフトウェアセンター(以下、OSC)に転職しました。

沖縄を出てからもずっと帰ろうと思い続けていたのは、一言で言うと「沖縄が好きだから」。これに尽きるんです。決して神奈川での暮らしが肌に合わなかったわけではありません。神奈川にも湘南の海がありましたが、沖縄のきれいな海をずっと恋しく思ってました。

※1 家電製品や機器などに組み込まれたコンピュータシステム。

 

齋藤さん:

きっかけは、東日本大震災と福島第一原発事故でした。当時勤めていた会社のあるいわき市は避難指示区域ではありませんでしたが、当時はわからないことも多かったので、当時5歳と2歳だった娘の健康のことを考えて家族で県外への移住を考え始めました。

なぜ、沖縄だったのか。最初のきっかけは、震災翌年の沖縄への家族旅行でした。さらにその後、妻と娘は久米島(沖縄県)で行われている福島の子どもを受け入れる保養プログラムに2週間ほど参加。すっかり沖縄独特の文化や料理、人などが気に入ったようで、妻に「もう(福島には)戻らない」と告げられました(笑)。何より大きかったのは、アトピーや咳が止まらず、毎日薬が欠かせなかった長女の症状が、沖縄で過ごすようになってから改善し、薬が不要になり通院する必要もなくなったんです。当時、妻は毎日のように娘を海に連れて行っていました。沖縄の自然の影響が大きかったのかもしれません。

もちろん、私自身も旅行をして以来、すっかり沖縄が好きになりました。しばらく1人で福島に住みながら沖縄での転職先を探し、2014年にOSCに入社して家族4人暮らしを再開させました。

現在の会社と仕事について

沖縄ソフトウェアセンターへの転職を決めた経緯と、仕事の魅力を教えてください。

又吉さん:

私は、「外貨を稼ぐ」という会社のスタンスを魅力に感じたからです。当社の仕事は、東京や大阪を中心に100%本土(県外)の企業から受注しています。情報通信システムや組み込み系ソフトウェアの開発などを手がけており、受託案件の業界や言語、規模、期間は多岐に渡ります。

特徴的なのは、自社単独ではなく、「オール沖縄」の共同開発体制を敷いて沖縄経済を発展させようというコンセプトです。本土企業からの仕事をOSCが代表受注し、案件ごとに県内の株主企業(44社)を中心とするパートナー企業からエンジニアなどのメンバーをコーディネートして、プロジェクトチームをつくるんです。開発分野や言語などに応じて、得意な人材を集めて開発するスタイルです。県内のIT企業は都会の企業と比べると規模が小さいため、1社単独で大型の開発案件を請け負うことは難しいのですが、こうした代表受注と共同体制の仕組みをつくることで、金融系をはじめとする大型プロジェクトの受注が可能になります。

チームを構成するビジネスパートナーは1500人以上に上り、大小様々な20ほどのプロジェクトを常に動かしています。チームメンバーはOSC社員が約3割、パートナー企業が7割ほどが平均的なイメージです。規模は10〜20人、制作期間は半年〜1年程度の案件が最も多く、大型案件では60人、2年ほどの開発体制をつくるケースもあります。

当社は県が推進する「沖縄IT津梁パーク構想」(※2)の中核企業でもあります。県全体のIT振興や人材育成に積極的に寄与していきたいと考えています。

※2 国内外の情報通信関連産業の一大拠点形成を目指す県主導のプロジェクト。

 

齋藤さん:

私がOSCを選んだのは、沖縄では数少ない組み込みソフトウェアの開発を行っていたので、これまでの経験を活かせると思ったからです。同時に、パートナー企業を代表して仕事を受注するビジネスモデルのため、プロジェクトリーダー業務の人材ニーズと自分の希望がマッチするとも考えました。

実際に働きながら感じるのは、沖縄特有の「横のつながり」の強さです。又吉が説明したように、当社はパートナー企業との共同開発を基本スタイルとしています。会社をまたいだ意思疎通は簡単ではないように思えますが、パートナー企業やメンバーとは率直に意見を言い合いながら、チーム内で互いに協力し合う雰囲気が自然と生まれるんです。東京をはじめ、上下関係や縦割り体制になりがちな企業とは決定的に違う、沖縄ならでは文化なのかもしれません。横につながり、互いに成長できる。そういう風土があるんです。

OSC社内の雰囲気も同様です。気軽に意見を言い合える職場で、上司や社長にも相談しやすく、とても働きやすいですね。

沖縄へUIターンして

UIターン後、主に生活面ではどのような変化がありましたか。

齋藤さん:

これまで住んでいた福島とは環境も文化も違うので、最初は沖縄の人たちに受け入れてもらえるか不安もありました。ただ、どこへ行っても沖縄の人たちは非常にフレンドリーで、生活はとても快適です。

私は本島最南端に位置する糸満市で暮らしていますが、近所の方々は非常に親切です。地域のイベントによく声をかけてくれますし、帰宅すると家の前にゴーヤやスイカ、とうもろこしなどの野菜が置いてあるんです。近所の人たちが畑で収穫したものをおすそ分けしてくれるんです。休日は娘が習っている三線や琉球舞踊を見たり、最近は庭でマンゴーを育てています。

とにかく時間の流れがゆったりしていて、心が安らぎます。特に印象に残っているのは、本島北部のやんばる国立公園にある大石林山に出掛けたときのことです。夜、満天の星空や蛍を目にした時間は、自然に溶け込んだような不思議な感覚になりました。車通勤の際に、きれいな海を眺めながら運転できるのもいいですね。

 

又吉さん:

休日にふらっと歩いてビーチに行き、きれいな海を眺めながらビールを飲む。こういう過ごし方はやはり最高ですし、沖縄だからこその魅力だと改めて感じています。帰ってきて、本当によかったですよ。これから夏場に向けて、ますます海へ行く機会が増えそうです。ビールが特においしく飲める季節の到来が、今から楽しみで仕方がありません。

沖縄へのUIターンや、OSCへの入社を考えている人へ

最後に、UIターン転職を考えている人にメッセージをお願いします。

又吉さん:

沖縄は海をはじめ自然が豊かで、人も優しく、時間もゆったり過ぎる非常に暮らしやすい場所です。ただ、都心と比べると遊園地などの娯楽施設は少ないので、そういう人工的な遊びを好む人にとっては、制限される部分があるかもしれません。当たり前ですが、メリットとデメリットの両方があるはずです。ですから、移住や転職はよく考えた方がいいと思います。一方で、勢いで行動することも、人生に変化を生み出すうえでは大切なことです。

この会社で仕事をするうえで一番重要だと思うのは、コミュニケーションですね。様々な会社のメンバーとチームを組むので、スムーズに意思疎通したり、協力し合うためのコミュニケーションスキルを発揮してほしいと思います。東京などでの経験を活かして、リーダーとしてプロジェクトチームをまとめられるような人にも、ぜひここで活躍してほしいですね。

 

齋藤さん:

沖縄の文化や食事、人は個性的です。ぜひ、移住前に少し長めの旅行をして沖縄の文化に触れていただき、自分に合っているかどうか確かめてから移住を検討することをオススメします。

給与は東京に比べて下がるかもしれませんが、生活費や行楽費はあまりかからないため、生活を成り立たせることは十分可能です。お金以外のメリット、つまり自然や人、ゆったりとした時間に魅力を感じている人なら、沖縄での生活を目一杯楽しめると思いますよ。都会の喧騒から離れて、人と自然に触れながら一緒に仕事をしてみませんか。

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